「おまとめローンと任意整理どちらが得なの?」
「おまとめローンを任意整理することは可能なの?」
「おまとめローン」と「任意整理」は、どちらも借金の負担を軽減するための措置として知られています。
おまとめローンは借金の種類の一つで、複数のカード会社から借金をしている、いわゆる「多重債務」の人が、借金の借入先を一本化することによって、利息を軽減し、お金を管理を簡単にできるというものです。
一方、任意整理は債務整理の種類の一つで、司法書士や弁護士とカード会社の直接交渉により、利息の免除や支払期間の延長を交渉できるというものです。
どちらにもメリット・デメリットがあり、その人の生活環境や借金の状況によって選択されます。
本ページでは、おまとめローン・任意整理それぞれのメリット・デメリットや違いなどについて解説します。
目次
おまとめローンとは?
おまとめローンとは、カード会社・銀行のキャッシングの商品の1つで、複数のカード会社から借りている借金を1つのカード会社にまとめることをいいます。
借金を1つのカード会社にまとめることにより、借金の管理がしやすくなるほか、カード会社1社からの借金総額が大きくなるため、利息の負担も削減できます。
おまとめローンの審査ポイントは?
おまとめローンも借金の1つですので、その他の借金と同様に、審査に通らなければお金を借りることができません。
おまとめローンは、すでに複数の借金をしている人が申し込む商品であり、複数の借金を1つにまとめる都合上、限度額も高くなるため、審査が厳しくなりやすいといわれています。
おまとめローンの審査に通るためには、以下のように、カード会社が「この人にお金を貸しても大丈夫だ」と思ってくれるような状況を作る必要があります。
<おまとめローンの審査に通りやすくするには?>
- 債務整理、借金の延滞などの信用情報への傷がない
- 借金総額が年収に対して多すぎない(返済できる見込みのある額である)
- 借り入れをしているカード会社が4社以内(5社以上になると審査に通りにくい)
- 正社員など安定した収入がある
- 勤続年数が1年以上(長いほど有利)
- 賃貸より持ち家に住んでいる方が有利(住宅ローンを組んだ実績があるため) など
おまとめローンのメリット
おまとめローンのメリットは以下のとおりです。
<おまとめローンのメリット>
- 金利が安くなる可能性がある
- 返済先が一つになり管理が楽になる
金利が安くなる可能性がある
おまとめローンの大きなメリットとしては、金利が安くなる可能性が挙げられます。
通常利息制限法で定められている上限金利は以下のとおりです。
<利息制限法で定められる上限金利>
- 10万円未満……20%
- 10〜100未満……18%
- 100万円以上……15%
たとえば、3つのカード会社からそれぞれ50万円ずつ借り入れている場合、各カード会社ごとに金利を支払うことになり、その金利は17〜18%で設定されていることが多いです。
しかし、おまとめローンによって3つのカード会社から借りている借金を1社にまとめると、1社から借り入れる借金総額が150万円と100万円を超えるので、上限金利が15%となり、金利が安くなるというわけです。
返済先が1つになり、管理が楽になる
複数のカード会社から借金をしていると、「返済先も返済日もバラバラで面倒」と感じる人も多いでしょう。
おまとめローンを利用することにより、返済先が一本化されるため、返済の手間が軽減され、お金の管理もしやすくなります。
おまとめローンのデメリット
おまとめローンのデメリットは以下のとおりです。
<おまとめローンのデメリット>
- 思ったより金利が下がらない
- 過払い金が回収できない
- ブラックリストに載らないので再び借金ができてしまう
思ったより金利が下がらない
前述のように、複数のカード会社からしている借金を1社にまとめることで、借金総額が100万円を超え、利息が下がることはあります。
しかし、下がるといっても数%なので、借金の負担がそこまで軽減されないケースもあります。
たとえば、カード会社2社から各50万円ずつ、合計100万円の借金を利息18%でしていた場合、36回払いで完済しようとすると、完済までにおよそ30万円の利息がかかります。
この借金をおまとめローンで一本化し、100万円を利息15%で返済しようとすると、36回払いの完済までに係る利息はおよそ25万円です。
つまり、おまとめローンを利用したとしても、金利は3%程度しか下がらず、100万円の借金の場合、完済までに生じる利息の差額は5万円程度ということになります。
これでは、毎月の返済額が数千円安くなる程度ですので、生活が楽になるほどの減額は見込めないでしょう。
過払い金が回収できない
2007年以前から同じカード会社に対して継続的に借金を続けている人の場合、過払い金が発生している可能性があります。
過払い金とは、カード会社に支払いすぎてしまった利息のことをいいます。
任意整理など債務整理を行う場合、利息の引直し計算を行い、過払い金の回収を行うことが可能ですが、おまとめローンをしてしまうと、たとえ過払い金が発生していたとしても、それを無視して借り入れたお金で借金を返済し、カード会社を一本化してしまうため、払いすぎてしまった利息を取り返すことができません。
ブラックリストに載らないので再び借金ができてしまう
任意整理など債務整理を行うと、信用情報に傷がつく、いわゆるブラックリスト入りしてしまうため、しばらくの間新たな借金をすることができません。
しかし、おまとめローンの場合、ブラックリストに載るわけではないので、今までどおり借金ができてしまい、ふとした気の迷いに新たな借金を作ることができてしまいます。
ましてや、借金しているカード会社を一本化してしまった分、今まで借りていたカード会社からも借金ができるので、「おまとめローンをしたことでかえって借金が増えてしまった」というケースは非常に多いのです。
任意整理とは?
任意整理とは、裁判所を通さず、司法書士・弁護士とカード会社の直接交渉によって行う債務整理です。
利息の免除や、支払期間の延長を交渉することができます。
任意整理ができる条件とは?
任意整理の手続きを行える条件は以下のとおりです。
<任意整理が行える条件とは>
- 一定の収入がある(パート・アルバイト・お小遣いでもOK)
- 利息を免除した借金元本を3〜5年で完済できる見込みがある
- 今後も借金を返済していく意思がある など
- 任意整理のメリット
任意整理のメリットは以下のとおりです。
<任意整理のメリット>
- カード会社からの請求が一時ストップする
- 利息がカットされ、支払期間の延長が可能
- 任意整理の対象とする借金を選べる
- 過払い金を取り戻せる可能性がある
カード会社からの請求が一時ストップする
任意整理の手続きを開始すると、交渉が和解するまで、一時的にカード会社からの請求がストップします。
その期間は借金の返済に追われることがないため、任意整理後の返済のための貯金をしたり、任意整理にかかる費用を支払ったりすることが可能です。
利息がカットされ元本のみの分割払いにできる
任意整理では、借金の利息カットと分割払いの交渉ができます。
カード会社からの借金は利息が非常に高く設定されていますが、任意整理後は利息がゼロになります。
たとえば、複数のカード会社から総額300万円の借金をしている場合、金利18 %で計算すると、完済までにおよそ90万円の利息が発生します。
任意整理をすることによって、この90万円の利息がカットされるため、借金の負担が大きく軽減します。
多くのカード会社では、5年払い(60回払い)以上を認めてくれるため、月々の支払い金額が分散され、負担が少なくなります。
先程の例と同じ様に300万円の借金があった場合に60回払いの分割で任意整理できたとすると、月々の支払い額は5万円になります。
任意整理の対象とする借金を選べる
任意整理は、個人再生・自己破産などその他の債務整理と違って、対象とする借金を自分で選ぶことができます。
そのため、保証人のいる借金や、住宅・自動車ローンなど債務整理をすると、弊害が生じる借金を除いて債務整理を行うことができます。
つまり、保証人に迷惑をかけず、住宅・自動車を失うことなく借金整理ができるというわけです。
なお、任意整理では、1カード会社につき、およそ3〜5万円の費用で手続きを行うことが可能です。
過払い金を取り戻せる可能性がある
2007年以前から同じカード会社に対して継続的に借金をしている人の場合、過払い金が生じている可能性があります。
任意整理を行う際は、手続きの前に司法書士・弁護士が利息の引直計算を行うため、過払い金の有無がわかり、手続き時に過払い金の返還請求を行うことが可能です。
過払い金があった場合、残っている借金元本と相殺され、元本が減ったり、お金が戻ってきたりします。
任意整理のデメリット
任意整理の最大のデメリットは、ブラックリストに載ってしまうことです。
ブラックリストに載るとは、個人信用情報に事故情報が記録されてしまうことを指し、クレジットカードの新規作成時や新たなローンの契約時の審査に通りにくくなってしまいます。
任意整理の場合、ブラックリストに載る期間はおよそ5~7年間で、その間は以下のようなことが制限されます。
ブラックリストに載るとできないこと
- クレジットカードの新規作成・使用
- ローンの新規契約
- 携帯電話契約時の本体分割支払い
- 家族・友人の借金の連帯保証人になること など
また、任意整理から5年経過すれば、以上のことは再びできるようになります。
⇒任意整理について詳しくはこちら
⇒任意整理のデメリットについて詳しくはこちら
⇒過払い金対象者とは?過払い金が発生するケース!
「どのカード会社から」「総額いくら」「いつから」借り入れているかによって、任意整理によって分割できる回数は変動します。自分は任意整理するとどうなるか詳しく知りたい方は無料3分診断をご利用ください。
任意整理とおまとめローンの違い
おまとめローンと任意整理の特徴やデメリットについて、それぞれ紹介してきましたが、「結局何が違うの?」という声が聞こえてきそうなので、違いについてまとめておきましょう。
ブラックリストについて
前述のように、任意整理をするとブラックリストに載ってしまうので、借金の返済をしている間に新たな借金をすることができません。
しかし、おまとめローンではブラックリストに載らないので、今までどおりカード会社から新たな借金をすることができ、意志の弱い人だと、結果的に借金が減らないというケースもあります。
全体的な金額について
任意整理とおまとめローンでは、最終的に支払う金額が異なります。
たとえば、複数のカード会社から総額300万円の借金をしていた場合、金利18%で36回払いすると、およそ90万円の利息が生じます。
任意整理の場合、この90万円の利息が免除されるため、支払う額は300万円のみで済みます。
しかし、おまとめローンの場合、借金を1社にまとめることにより利息が下がるというだけなので、金利15%の36回払いとすると、およそ74万円の利息が生じます。
つまり、おまとめローンで支払う総額は374万円ということです。
このように、任意整理とおまとめローンを比較すると、任意整理のほうが支払う金額が格段に安くなります。
おまとめローン後も任意整理できる?
「すでにおまとめローンをしてしまったけど、やっぱり任意整理をしたい」という人もいると思います。
おまとめローンも通常の借金と変わりありませんので、今から任意整理を行うことができます。
任意整理を検討したいという人は、司法書士・弁護士事務所に相談してみてください。
おまとめローンの方が向いている人
おまとめローンに向いているのは以下のような人です。
- 定期的な収入があるなど、返済能力が高い人
- おまとめローンの審査に通る人(勤続年数が長いなど)
- ブラックリストになりたくない人
- 利用しているカード会社が3社以下の人
- 2007年以前の借金がないなど、過払い金が発生していない人
- 住宅などの担保がある人
任意整理の方が向いている人
任意整理に向いているのは以下のような人です。
- 借金の元本のみを5年ほどの分割払いで返済できるだけの収入がある人
- 3社以上のカード会社から借金をしている人
- おまとめローンの審査に通りそうもない人
- 2007年以前からの借金があるなど、過払い金が発生している可能性がある人
⇒任意整理の費用はいくら?費用の相場を把握しておこう
⇒任意整理の流れと必要なもの|流れを事前に把握して不安を解消!!
⇒任意整理の手続き期間と任意整理後の返済期間はどれくらい?
「どのカード会社から」「総額いくら」「いつから」借り入れているかによって、任意整理によって分割できる回数は変動します。自分は任意整理するとどうなるか詳しく知りたい方は無料3分診断をご利用ください。
まとめ
- おまとめローンは利息の軽減と返済先の一本化が可能
・借金の一種なので、審査がきびしい
・利息はそこまで大きく下がらないので、返済総額があまり減らない
・過払い金が回収できない
・ブラックリストに載らないので、再び借金ができてしまう - 任意整理は利息の免除と返済期間の延長が可能
・支払総額の減額幅が大きい
・過払い金を取り戻せる
・5~7年間ブラックリストに載ってしまうので、借金が増えない
・対象とする借金を選ぶことができる