違法な借金の取り立てまとめ

六法全書

「借金の取り立てが頻繁にくるのだけど、違法じゃないの?」

「借金取り立ての合法と違法の分岐点は?」
 
一般的に、「取り立て」という言葉からイメージされるものは、「ヤクザ風の方が自宅まで来て怒号をあびせる」という感じではないでしょうか。

そんなイメージを持っていると、返済が苦しくなっても相談できず、カード会社への連絡1本も躊躇してしまうかもしれません。

でも、そんな取り立ては実際には法律で規制されており、テレビドラマの中のお話しなのです。闇金などの違法な業者はこの限りではありませんが。

今回は、違法な借金の取り立てと、その対処方法、それから現在はどのような取り立てが一般的なのかについても見ていきましょう。

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目次

違法な取り立ての定義

借金の取り立ては何をやってもよいわけではなく、きちんと法律で規制されています。

当然、恐喝まがいの取り立ては禁止されているのでご安心ください。

なお、取り立てを規制している法律を「貸金業法規制(貸金業法)」と言い、消費者金融などのカード会社はこの法律で取り締まられているというわけです。

それでは、どのような規制があるのか一緒に見ていきましょう。

脅迫めいた取り立てをすること

暴力的で脅迫めいた態度や言動で取り立てる行為は禁止されています。

その他、大人数で押しかけて取り立てを行うことも禁止です。

つまり、利用者が恐怖感を抱くような取り立ては禁止ということですね。

何度も訪問して取り立てること

利用者のもとを何回も訪問して、繰り返し取り立てる行為は禁止されています。

同じ日に何度もカード会社が訪問してきたら恐怖感をいだくことでしょう。

具体的に訪問回数を規定しているわけではありませんが、大手のカード会社は1日に1~3回までとしています(何回連絡しても利用者と連絡が取れない場合)。

正当な理由なく深夜や早朝に取り立てをすること

深夜や早朝に取り立てをすることは禁止されています。

具体的には、午前8時~午後9時までの間で取り立てを行うよう決まっているのです。

取り立ての行為としては、「電話、FAX、自宅訪問、電報」などが挙げられます。

これらの取り立て行為は全て、決められた時間内で行うよう規制されているとうわけですね。

なお、正当な理由とは、カード会社が利用者に連絡しても連絡が取れない場合です。

利用者の携帯電話や自宅にいくら電話しても出ないとなると、カード会社も困ってしまうでしょう。

この場合は、利用者の職場へ連絡しても良いことになっているのです。

ちなみに、正当な理由の内容に関しては、明確に法律で規定されているわけではありません。

正当な理由なく職場や自宅以外の場所に連絡すること

前項で、正当な理由があれば職場への連絡が認められる、とお話ししましたが、言い換えれば正当な理由がなければ、職場(その他、自宅以外の場所)への連絡は規制されているということです。

規制の趣旨は、利用者本人以外に迷惑をかけたり、利用者の情報をまわりの人に漏らしてはいけないということですね。

つまり、カード会社から連絡が来たら、その都度ちゃんと電話に出て、現状を伝えて相談すればよいだけなのです。

そうすれば職場に連絡されることもありませんので。

帰ってほしいと意思表示したのに帰らないこと

取り立てにきたカード会社に対して、利用者が帰ってほしいと意思表示したにも関わらず、無視して取り立てを続けることは禁止されています。

利用者のプライバシーを公開してはいけない

張り紙や看板を利用して取り立てる行為は、利用者が借金していることを周囲に知らしめる行為にあたり禁止されています。

同様に、家族や職場などの本人以外に借金の事実を知らせる行為も禁止されています。

もし、自宅や職場に取り立ての電話がきたとしても、本人以外が電話に出た場合、カード会社名は伝えずに個人名で伝えるケースが多いですね。

利用者以外の方から資金調達して返済するよう要求すること

カード利用者に対して、利用者以外の方(他のカード会社や個人)から資金を調達して返済するよう要求する行為は禁止されています。

利用者以外の方とは、他のカード会社はもちろんのこと、家族や友人も対象となります(保証人や連帯保証人を除く)。

このような行為を認めてしまうと、利用者が多重債務に陥り、ますます借金から抜け出せなくなってしまいますからね。

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債務整理後に取り立てること

債務整理の手続きに入った方に対しては、カード会社は取り立てができなくなります。

理由は、弁護士や司法書士がカード会社に「受任通知」を送付するためです。

受任通知を受け取ったカード会社は債務者に直接取り立ててはいけないと法律で定められており、もし法律を破った場合は、2年以下の懲役か300万円以下の罰金、あるいは、その両方の刑罰を科すものと定められています。

さらに、業務停止や貸金業登録取消しなどの行政処分の対象となる場合もあります。

さすがにカード会社も、このようなリスクを犯してまで取り立てようとは考えないですよね。

なお、債務整理後にカード会社があなたと連絡を取るには、弁護士や司法書士を通す必要があるため、結果的に取り立てが止むことになります。

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現在行われている一般的な取り立てとは?

前述したとおり、取り立ては法律で規制されていますが、正当な理由(利用者と連絡が取れないなど)があれば、取り立ては認められます。

それでは、正当な理由がある場合、カード会社はどのような取り立てを行うのでしょうか。

一般的な取り立ての流れをご紹介しましょう。

取り立ての手順

一般的な取り立ての流れは以下のような手順です。

携帯電話に連絡 ⇒ 自宅に督促の手紙を郵送 ⇒ 自宅の固定電話に連絡 ⇒ 自宅に訪問

上記のように4ステップの流れがありますが、どこかのステップでちゃんと電話にでれば、それ以上ステップが進むことはありません。

自宅に訪問されても困るでしょうし、早い段階で電話にでてしまいましょう。

取り立ての細かい規則

前述したように、取り立ては法律で規制されている項目がありますが、その他にもカード会社独自のルールを設定されている場合もあります。

大手のカード会社を例にすると、以下のようなルールがあります。

・2名以上の大人数で自宅を訪問してはいけない

・1日に3回以上電話してはいけない

・電話、自宅訪問ともに、暴力的な態度や言動をとってはいけない。大きな声や音を出して脅かす行為もNG。

・利用者本人以外に会社名を悟られてはいけない
(郵便物に社名を記載しない、電話(留守電含む)は個人名で伝える)

・不適切な時期に取り立ててはいけない
(自然災害で被害が酷い時期、正月、お盆など)

・基本的には男性スタッフが取り立てを行うが、延滞が初期の場合(3日~2週間ほど)は、女性スタッフが取り立てを行う。また、利用者が女性顧客で、女性スタッフからの取り立てを希望している場合も同様に女性スタッフが取り立てを行う。

・利用者が返済日を指定したのであれば、その日までは正当な理由がない限り連絡してはいけない。

違法な取り立てをされた場合の対処方法

基本的には、普通のカード会社が違法な取り立てをすることはありません。

しかし、もしあなたが違法な業者(闇金など)で借金をしている場合、違法な取り立てをされる恐れがあります。

それでは、違法な取り立てをされた場合の対処方法について見ていきましょう。

警察に相談する

違法な取り立ては犯罪です。

そのため、もし身の危険を感じたのであれば、直ちに警察に通報してしまいましょう。

放置すると取り立てがエスカレートするかもしれませんので、早い対処が肝心です。

なお、以下に挙げる行為は犯罪です。

「警察に通報しますよ」と一言伝えるだけでも効果を得られる可能性が高いでしょう。

なお、違法な取り立てをされたら、その事実をスムーズに立証させるためにも、証拠を取っておくことが重要です。

例えば、「張り紙を張られたら現物を取っておく」、「暴力的な言動を録音しておく」、「ものに落書きされたら写真を撮っておく」などです。

・恐喝罪
恐喝まがいの行為(大声で怒鳴る・嫌がらせをする)。

・強要罪
他のカード会社から借りて返済するよう求めたりと、無理な強要する行為

・住居侵入罪
自宅などに勝手に侵入する行為

・不退去罪
退去するよう要求してもその場に居座る行為

・監禁罪
利用者本人やその関係者を監禁する行為

・業務妨害罪
職場にしつこく連絡したりと、業務を妨害する行為

・器物損壊罪
物を壊したり、落書きしたりする行為

債務整理をする

前述した内容にはなりますが、債務整理をするとカード会社からあなたに連絡をすることができなくなります。

具体的には、弁護士や司法書士からカード会社に「受任通知」を送り、それをカード会社が受け取った時点で取り立てができなくなるわけです。

カード会社が利用者と連絡を取るためには、弁護士や司法書士を通すことが義務付けられているため、完全に取り立てから守られている安心感を得られるでしょう。

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まとめ

今回は、「違法な借金の取り立て」について解説させていただきました。

・取り立ては貸金業法で規制されている
・4ステップの一般的な取り立てについて
・取り立ては社内ルールが設定されている場合もある
・違法な取り立てにあったら、警察に通報するか、債務整理が効果的

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執筆者情報

司法書士・行政書士 山口 広樹
司法書士・行政書士  山口 広樹

横浜市出身で司法書士・行政書士15年目。
かながわ総合法務事務所の代表。
債務整理や過払い金請求を専門にし、累計の解決実績5000件以上。

・司法書士(神奈川県会2376号)
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