任意整理すると携帯電話・スマホは使えない?新規契約や機種変は?

携帯電話を操作している女性

「任意整理をすると、携帯電話・スマートフォンの使用に影響は出るの?」
「任意整理後に携帯電話を新規契約、機種変更することは可能?」

任意整理とは、裁判所を通さず、司法書士・弁護士とカード会社の直接交渉によって、利息の免除や支払期間の延長を交渉できる制度です。

カード会社からの借金を任意整理することにより、携帯電話・スマートフォンの使用ができなくなるということはありません。

しかし、携帯電話料金を滞納したり、携帯電話料金に対して任意整理を行ったりすると、携帯電話・スマートフォンを強制解約され、使用できなくなってしまうことがあります。

本ページでは、任意整理と携帯電話・スマートフォンの関係、携帯電話料金未払いによって生じる「携帯ブラック」についてご説明します。

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目次

任意整理するとブラックリストに載る

任意整理とは、司法書士や弁護士とカード会社の直接交渉の直接交渉によって、借金の利息免除や返済期間の延長を交渉できる制度です。

裁判所を通さない制度のため、対象とする借金を自分で選ぶことができ、手続きも簡単で、多くの人に利用されています。

任意整理の最大のデメリットは、手続きを行うことで個人信用情報に傷がつく、いわゆるブラックリスト入りをしてしまうことです。

任意整理によるブラックリスト入りの期間はおよそ5~7年間で、ブラックリスト入りしてしまうと、クレジットカードの使用・新規作成、ローンの新規契約などができなくなります。

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任意整理後の携帯・スマホへの影響は?

前提として、カード会社からの借金を任意整理をすること、それによってブラックリスト入りしてしまうことが、携帯電話・スマートフォンの使用に直接影響するわけではありません。

任意整理後も現在使用している携帯電話・スマートフォンを使用できる場合がほとんどです。

しかし、携帯電話・スマートフォンの支払い方法をクレジットカード払いにしている場合、ブラックリスト入りすることでクレジットカードの使用ができなくなるため、支払いがストップしてしまいます。

そのため、任意整理を行う際は、携帯電話・スマートフォンの支払い方法を予めコンビニ振込など別の手段に切り替える手続きをしておきましょう。

滞納中の携帯料金は任意整理の対象から外すことが一般的

滞納中の携帯電話料金がある場合、任意整理の対象に含めることも可能です。

しかし、携帯電話料金を任意整理の対象に含めてしまうと、現在契約中の携帯電話・スマートフォンを強制解約させられてしまうため、携帯電話・スマートフォンの利用ができなくなってしまいます。

そのため、滞納中の携帯電話料金は任意整理の対象から外すことが一般的です。

携帯料金を任意整理の対象にした方がよいケース

一方、携帯電話料金を任意整理の対象に含めたほうがよいケースというのも存在します。

<携帯電話料金を任意整理の対象にしたほうがよいケース>

  • 滞納している携帯電話料金が高額すぎて、どう頑張っても支払えそうにない場合
  • すでに長期に渡って滞納しているために、利用停止・強制解約の措置を受けている場合
  • 法律事務所などから一括請求の催促を受けている場合 など

携帯電話料金の滞納が高額になることは稀です。

なぜなら、携帯電話料金を滞納すると、1回目の滞納から2ヶ月程度で利用停止となり、その後さらに1〜2ヶ月放置してしまうと強制解約となってしまうからです。

しかし、近年はゲームなどのアプリ課金、ショッピングにおけるキャリア決済など携帯電話そのものの使用料金以外も含めて請求されてしまうため、携帯電話料金が高額になってしまう人もいます。

仮に、携帯電話料金を任意整理の対象に含めると、滞納したことによる延滞利息が免除されるほか、一括請求を分割支払いにしてもらえたり、裁判を起こされることを防げたりします。

なお、大手携帯電話会社への任意整理の場合、以下のような条件になります。

  • KDDI(au):5年(60回)分割まで
  • ドコモ:2~4年(24~48回)分割まで
  • ソフトバンク:1年(12回)分割まで

「どのカード会社から」「総額いくら」「いつから」借り入れているかによって、任意整理によって分割できる回数は変動します。自分は任意整理するとどうなるか詳しく知りたい方は無料3分診断をご利用ください。

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自分以外の家族の携帯に影響はある?

別々の名義で契約をしている場合、あなたが任意整理を行うことによって、ご家族の携帯電話・スマートフォンに影響が出ることはありません。

なぜなら、任意整理によって傷がつくのはあなたの個人信用情報のみで、ご家族の個人信用情報にはなんの影響もないからです。

あなたの任意整理後も、ご家族の方は今までどおり携帯電話・スマートフォンを使用することができますので、これによってあなたの任意整理がご家族に知られてしまうことはありません。

一方、あなたの名義でご家族の携帯電話・スマートフォンを契約している場合ですが、携帯電話料金を任意整理の対象に含めなければ、ご家族の携帯電話・スマートフォンの利用に影響が出ることはありません。

しかし、携帯電話料金を任意整理の対象に含める場合、強制解約などの措置を取られますので、ご家族の携帯電話・スマートフォンも使用できなくなります。

任意整理すると携帯・スマホの機種変はできる?

任意整理によって、携帯電話・スマートフォンの機種変更ができなくなるということはありません。

しかし、機種変更を行う際の本体の分割支払いができなくなる可能性があることに注意しましょう。

近年は、スマートフォンの普及によって、本体価格が高額になり、携帯電話・スマートフォンの本体価格を割賦払い(料金を分割で後払いすること)することが多いです。

しかし、任意整理をすると、5~7年間はブラックリスト入りしてしまうため、本体料金の割賦払いの審査に通らず、携帯電話・スマートフォンの本体価格を分割払いすることができません。

そのため、任意整理後5~7年間は、携帯電話・スマートフォンの本体価格を一括支払いで購入することになります。

任意整理後に携帯・スマホの新規契約はできるか?

任意整理後の携帯電話・スマートフォンの新規契約も可能です。

しかし、この際も5~7年間はブラックリスト入りしてしまう都合で、携帯電話・スマートフォンの本体価格は分割支払いできません。

そのため、今使用している携帯電話・スマートフォンを再利用するか、本体を一括で購入することになります。

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携帯ブラックについて

個人信用情報に傷がつく「ブラックリスト入り」の他に、携帯電話会社が保持する「携帯ブラック」というものが存在します。

信用情報によるブラックリストと、携帯電話会社が保持する携帯ブラックは、全くの別物なので注意しましょう。

携帯ブラックを解消しないと携帯・スマホは契約できない

携帯ブラックとは、携帯電話・スマートフォンの回線契約料金を未払いにした際、電気通信事業者協会(以下TCA)に記録されてしまう未払い情報のことです。

TCAは携帯電話会社が加盟する社団法人で、docomo、au、softbankなどの大手携帯電話会社はもちろん、楽天イーモバイル、UQコミュニケーションズ、ニフティなども加盟しており、各携帯電話会社の契約数を集計するなど通信事業にまつわる事業を行っています。

携帯電話・スマートフォンの回線契約料金を未払いにすると、数ヶ月でその契約が強制解約されるほか、その情報がTCAによって各携帯電話会社に共有され、その未払いを解消するまでどの携帯電話会社からも携帯電話・スマートフォンの契約ができなくなります。

つまり、携帯電話・スマートフォンの回線契約料金の未払いがある人が、再び携帯電話・スマートフォンを使用できるようになるためには、まず未払い料金を支払う必要があるわけです。

これは、TCAで情報が共有されている以上、別の携帯会社に乗り換えても逃れられません。

また、一度携帯電話・スマートフォンの回線契約料金の未払いを引き起こしてしまうと、携帯電話会社によっては、契約時に保証金を支払う必要があったり、契約を断られるケースがあったりします。

本体価格の未払いはブラックリストに影響する

前述のように、現在は携帯電話・スマートフォンの本体価格を分割支払いで購入する人が多いです。

本体価格の未払い・滞納は、携帯ブラックではなく、個人信用情報による「ブラックリスト」に記録されます。

信用情報に傷がつくブラックリスト入りについては任意整理の項でも説明しましたが、クレジットカードの使用・新規作成や、ローンの新規契約ができなくなるほか、携帯電話・スマートフォンの本体価格分割支払いができなくなります。

携帯電話・スマートフォンの本体価格未払い・滞納によるブラックリスト入りは、任意整理同様およそ5~7年間です。

携帯ブラック・ブラックリストに載ってしまう前に……

携帯電話・スマートフォンの本体価格を分割支払いにしており、返済が済んでいない人が携帯電話料金を滞納すると、「携帯電話・スマートフォンの回線契約料金」と「携帯電話・スマートフォンの本体価格」をともに滞納していることになり、TCAによる「携帯ブラック」にも、個人信用情報による「ブラックリスト」にも載ってしまいます。

携帯ブラックは未払いの料金を支払うことで抹消されますが、個人信用情報によるブラックリストは5~7年間抹消されることはありません。

携帯電話・スマートフォンは今や日常の必需品ですから、安心して使用するためにも料金を滞納せず支払うことが大切です。

なお、現在すでに滞納しているという人や、支払いがきびしいという人は、司法書士・弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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まとめ

  • 任意整理をすると5~7年間ブラックリスト入りしてしまう
    ・クレジットカードが使用できなくなるので、携帯電話料金をクレジットカード払いにしている人は、コンビニ振込などに変更しておくこと
    ・任意整理後の携帯電話・スマートフォンの機種変更・新規契約は可能。しかし、ブラックリスト入りしている期間は携帯電話・スマートフォンの本体価格の分割支払いができないため、機種変・新規契約時は一括購入することになる
  • 携帯電話料金を任意整理の対象に含めると、強制解約となり使用できなくなる
    ・携帯電話料金を滞納していても、任意整理には含めないことが一般的。(ほかの借金を任意整理し、携帯電話料金はそのまま支払い続ける)
    ・携帯電話料金が高額な場合など、任意整理の対象に含めたほうがいいケースもある
  • 携帯電話料金の回線契約料金に未払いがあると、「携帯ブラック」になる
    ・携帯ブラックになると、強制解約になるほか、未払いが解消されるまでほかの携帯電話会社でも契約ができない
    ・携帯ブラックは、未払い解消と同時に抹消される
    ・本体料金の分割払いを滞納すると、個人信用情報に傷が付きブラックリスト入りする

執筆者情報

司法書士・行政書士 山口 広樹
司法書士・行政書士  山口 広樹

横浜市出身で司法書士・行政書士15年目。
かながわ総合法務事務所の代表。
債務整理や過払い金請求を専門にし、累計の解決実績5000件以上。

・司法書士(神奈川県会2376号)
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・行政書士(神奈川県会4407号)
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