「任意整理で過払い金が多くあって、借金がゼロになってもブラックリストになるの?」
任意整理を進める過程で、正確な借金額を算出するために、過払い金の有無を調査します。
過払い金があった場合は、元金に充てこむのですが、この際に、借金が残る場合と借金がゼロになる2つのパターンがあります。
任意整理をするとブラックリストに載ることは周知の事実ですが、もし過払い金が多く、借金がゼロになった場合もブラックリストに載ってしまうのでしょうか。
目次
ブラックリストとは
まず最初に、ブラックリストとはそもそもどのようなものなのか解説していきましょう。
よく言われる「ブラックリスト」という表現自体は俗称で、実際は債務者の事故情報(滞納や債務整理をしたという情報)が、信用情報機関に記録されることを言います。
カード会社(消費者金融・銀行・クレジットカード会社)は申込者を審査するときに、信用情報機関に記録されている情報をチェックします。
もし、チェックした情報に事故情報があればカード会社は審査で落とすため、結果的にカードが作れないということになるわけです。
ちなみに、通常は任意整理をするとブラックリストに載ってしまいますが、任意整理の過程で過払い金請求をして借金をチャラにできた場合は、ブラックリスト入りを回避することができます(結果として任意整理をしたことにならないため)。
信用情報機関とは?
ブラックリストとは信用情報機関に事故情報が載ることとお分かりいただけたと思います。
そして、信用情報機関とは信用情報を記録、保管するための機関で、3種類存在しています。以下のとおりです。
・株式会社日本信用情報機関(JICC)消費者金融系機関
・株式会社シー・アイ・シー(CIC)クレジットカードや信販系機関
・全国銀行個人信用センター(KSC)銀行系機関
カード会社は、これらの3機関のうち、どれか一つの機関に登録しておけば債務者の利用状況を把握することができるようになっています。
(3機関がCRIN(Credit Information Network)というネットワークでつながっているため)
どれくらいの期間ブラックリストに載るの?
ブラックリストに載る期間は、利用者の事故状況によって異なります。
例えば、債務整理においてもその種類によってブラックリストに載る期間が異なり、任意整理は約5~7年、個人再生や自己破産では約5~10年とされています。
上記のとおり、任意整理が最もリスクが少ないと手続きであるとお分かりいただけるでしょう。
とは言うものの5年も短くはありませんし、できればブラックリスト入りを回避したいですよね。
任意整理をする際には必ず過払い金の有無を調査することになっており、借金額以上の過払い金が発生していればブラックリスト入りを回避できます。
ブラックリストに載るとどうなってしまう?
ブラックリストに載ると、借金をしようとしても審査に落ちる可能性が高くなります。
つまり、新たにカードを作ったり、ローンを組んだりすることができなくなるというわけです。
その他、分割払いで買い物ができなくなったり、保証人になれなくなったりといった形で、ある程度の制限がかかることになります。
このように、制限がかかることからマイナスに捉えられがちですが、ブラックリスト入りによって借金ができなくなるということは先々を考えればプラスに働くことでしょう。
下手に借金ができてしまっては、さらに借金地獄から抜け出せないことにもなりかねません。
過払い金請求してもブラックリスト入りしない方法
任意整理で過払い金請求しても、ブラックリスト入りを回避する方法があります。
借金の状況にもよりますので、誰もがブラックリスト入りを回避できるわけではありませんが、事前に知っておいても損はありません。
また、過払い金請求の手続き中の注意点もありますので併せて見ていきましょう。
借金を完済した後に過払い金請求をする
借金を完済した状態で過払い金請求をすればブラックリストに載ることはありません。
完済後に過払い金請求したからといって、その方に返済能力がないということにはならないので、ブラックリスト入りしないということです。
もし、絶対にブラックリスト入りを避けたいという場合は、過払い金請求したいカード会社 (消費者金融・クレジットカード会社)の借金を完済してから手続きを進めるとよいでしょう。
ちなみに、以前は完済後に過払い金請求したとしてもブラックリストに載ってしまっていました。
しかし、平成22年に金融庁の方針が改正され、現在では完済後に過払い金請求をすれば(または、過払い金で借金をチャラにできれば)ブラックリストに載らないようになっています。
ただし、完済していない状態であれば現在でもブラックリストに載りますので注意しましょう。
過払い金で借金をチャラにできればブラックリスト入りしない
繰り返しにはなりますが、過払い金で借金をチャラにできればブラックリストにはなりません。
さらに、もし借金よりも過払い金の額の方が大きければ手元にお金が戻ってきます。
逆に、過払い金より借金の方が大きい場合はブラックリスト入りしてしまいます。
この場合は、カード会社に借金の減額をお願いする任意整理と同じ扱いになるので、ブラックリストとして登録されてしまいます。
つまり、過払い金請求をしても借金が残る場合は、強制的に任意整理となるということです。
借金と過払い金のどちらが多いかは、カード会社か司法書士や弁護士などの専門家に確認してみないとわかりません。
過払い金請求の手続き中の注意点
過払い金請求の手続き中の注意点として、借金がある状態で司法書士や弁護士などに過払い金請求を依頼した場合、カード会社によっては、過払い金請求の手続きが完了するまでの間、一時的にブラック扱いになる可能性があります。
もちろん、過払い金の手続きが完了し、借金がなくなればブラックリスト扱いは解除されますのでご安心ください。
ただし、手続き中でブラックリスト入りしている間に、手持ちのクレジットカードの更新のタイミングが来てしまうと、クレジットカードの更新できないケースもありますのでご注意ください。
とは言うものの、全てのカード会社が必ず一時的にブラック扱いにするわけでもなく、カード会社ごとに判断基準は異なってきます。
確認漏れでブラックリストに載ってしまうケース
前述したとおり、借金を完済しているか、過払い金で残債をチャラにできた場合は過払い金請求をしてもブラックリストには載りません。
しかし、自分では完済しているつもりでも、よく調べたら完済扱いにならないケースがありますので要注意です。
クレジットカードの過払い金請求での注意点
キャッシング機能付きクレジットカードの、キャッシング枠での過払い金請求では、ショッピング枠で残債がないか確認してください。
もし、キャッシング枠で過払い金が発生していても、ショッピング枠で残債が残っていれば、過払い金はショッピング枠の残債にも充てられてしまいます。結果的に、残債が残ってしまう場合は、任意整理と同じ扱いとなりブラックリスト入りしてしまいます。
そのため、クレジットカードで過払い金請求する場合は、ショッピング枠の額を勘定した上で請求するようにしましょう。
過払い金請求をした会社のクレジットカードは利用できない?
ほとんどの場合、過払い金請求をしたクレジットカードは利用できなくなります。
前述したとおり、完済した状態で過払い金請求すれば、ブラックリスト入りすることはないので、他社のクレジットカードであれば問題なく利用可能なのですが、過払い金請求した会社のクレジットカード会社は利用できなくなる可能性が高いと言えるでしょう。
これは、信用情報機関に載ってブラックリスト入りするわけではなく、各カード会社が社内ブラック扱い(カード会社が独自に事故情報を記録していること)にしているということです。
社内ブラック扱いされてクレジットカードが利用できなくなると、キャッシング枠だけでなく、ショッピング枠にも影響します。
そのため、もし光熱費や携帯料金なども支払いを、過払い金請求したクレジットカード会社にしている場合、事前に他のクレジットカード会社に切り替えておいたほうがよいでしょう。
また、過払い金請求をしたクレジットカード会社で借金が残ってしまうと、任意整理扱いとなりブラックリスト入りしてしまうため、過払い金請求したクレジットカード会社以外も、更新のタイミングで利用できなくなる可能性が高くなるので注意しましょう。
ブラックリストはそこまで怖くない
まだ残債がある方の場合は、ブラックリスト入りに不安を感じて過払い金請求を躊躇してしまうかもしれません。
しかし、ブラックリストはきちんと対策をたてれば、そこまで恐ろしいものでもありません。
それよりも、今の借金が減らない、または増えていく状態を続けて行くほうがよっぽどリスキーと言えるでしょう。
また、カード会社への返済が、もし3ヶ月滞納しているのであれば、その時点で既にブラックリストに入りしています。
もし毎月の返済が厳しく、既に3ヶ月以上滞納している方は、今すぐにでも任意整理による過払い金請求の手続きを進めるべきでしょう。
滞納を繰り返していても、ブラックリストに載った状態がそのまま継続していくだけですが、任意整理による過払い金請求の手続きを進めれば、およそ5年が経過すればブラックリストが解除され、新たにカードを作ったり、ローンを組んだりすることが可能になります。
ブラックリストは人にばれない
また、ブラックリストに載ると人にばれてしまうと誤解している方が多いですが、そんなことはありません。
任意整理や過払い金請求は、個人再生や自己破産のように、裁判所を通す手続きではなく、カード会社との和解による手続きであるため、誰かにばれる可能性はほぼ無いといえるでしょう。
ちなみに、個人再生や自己破産の場合は、平日の昼間に裁判所に行かなくてはいけなかったり、官報という国の新聞のようなものに事故情報が載ったり、職場に書類を依頼しなくていけなかったりと、何かとばれそうなアクションを求められるため、任意整理と比べてばれやすい傾向にあります。
ブラックリスト入りで最も不便なのはクレジットカードが持てないこと
任意整理で過払い金請求をし、ブラックリストに載った後で最も困ることはクレジットカードをもてないことでしょう。
最近はネット上でクレジットカード決済を求められる機会も多いですしね。
そこで、クレジットカード代わりになってくれる優れものが「デビットカード」です。
利用したことのある方はお分かりかと思いますが、口座に入金しておけば、あとはその残額に応じてクレジットカードと同様に買い物をすることができます。
デビットカード以外でも、「家族カード」を持つという手段もあります。
任意整理で過払い金請求をしたとしても、家族には何も影響しないので、配偶者に発行してもらった家族カードを所有していくということは全く問題ありません。
ただし、任意整理した配偶者の保証人になっている場合は影響しますので注意しましょう、ちなみに、任意整理は一部のカード会社の借金だけを整理の対象にすることができますので、保証人付きの借金を整理対象から除外することで保証人を守ることも可能です。
また、ETCカードがどうしても必要な方は、ネクスコが提供している「ETCパーソナルカード」を作りましょう。
クレジットカード機能が付いていないETCカードなので、審査不要で作成できます。
このように、クレジットカードが無い不便は別のサービスで代用できますので、ブラックリストもそこまで怖いものではないとお分かりいただけるでしょう。
まとめ
- ブラックリストとは信用情報機関に事故情報が載ることを指している。
- ブラックリストは任意整理で約5~7年、個人再生や自己破産で約5~10年で解除される。
- ブラックリスト入りしている間は、カードを新たに作ったり、利用したりできなくなる。
- 任意整理で過払い金請求して、借金が残っているとブラックリスト入りする。
- 過払い金請求したカード会社は社内ブラック扱いで利用できなくなる可能性が高い。