任意整理は年金受給者でもできる?年金への影響は?

昨今、年金受給者が借金の返済に苦しむ、というケースが増えてきています。

わずかな貯金と年金の中から、毎月何万円も返済に充てなければならないというのは、かなりの負担です。

そこで、年金受給者でも、任意整理をして借金の負担を減らすことは可能なのかと疑問に思う方が多いようです。

また、「年金受給者が任意整理をすると、年金が貰えなくなるのではないか」という疑問も多いです。

その不安から、なかなか司法書士・弁護士に相談できない、という人がいるのが現状です。

そこで今回は、年金受給者の任意整理について、その詳細や注意点を説明していきます。

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年金受給者でも任意整理はできる?

まずはじめに、そもそも年金受給者は任意整理をすることができるのか、という疑問に答えていきます。
 
結論から言えば、年金受給者でも任意整理をすることはできます。

任意整理は、お金を貸した銀行・貸金業者(消費者金融やクレジットカード会社)と、司法書士・弁護士が直接交渉をして、借金負担を軽減してもらう(具体的には、将来かかる金利の免除)手続き。

借金負担の軽減自体も、法律で定められているわけではなく、あくまで銀行・貸金業者側が自主的に行うものです。

ですから当然、「任意整理をすることができない人」が法律で定められているということもありませんので、任意整理は年金受給者でもできるのです。

任意整理ができるできないの判断ポイントは、借金の元金を60回払いできる余裕があるかどうかに全て集約されます。

例えば、借金が200万円の場合は、毎月約3万5千円を返済していけるかどうかということのみが判断ポイントになるのです。

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年金が差し押さえられることはある?

もう一つ、年金受給者の任意整理で心配なのは、年金への影響です。

「任意整理をすると、年金が差し押さえられるのではないか」と不安に思われる方が多くいます。

たしかに、手続きの中で年金が差し押さえられたり、支給額が減ったりすると、生活に支障がでてしまいますよね。

それでは、実際に任意整理は年金支給額に影響を及ぼすのでしょうか。

結論から言えば、任意整理で年金が差し押さえられたり、年金支給額が減ったりということはありません。

そもそも、任意整理では個人資産が差し押さえられるということがありません。

なぜなら、公的年金は、法律によって「差し押さえてはいけない」と定められているからです。

国民年金法24条の条文をみてみましょう。

国民年金法 第24条
給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、年金給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押える場合は、この限りでない。

この条文の後半部分(ただし〜以降)は、銀行や貸金業者から借りた借金とは関係がないので、ここでは無視していただいて構いません。

重要なのは、条文の冒頭部分にしっかりと「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない」と書かれていることです。

ただし、これはあくまで「公的年金」、つまり、国や公的機関が運営する年金に限ります。

年金には「個人年金」という、個人が運営する年金があり、これに関しては、差し押さえられてしまう可能性があります。

つまり、個人年金は個人の金融資産とみなされ、法的な保護を受けることができないのです。

しかし、任意整理によって個人年金が差し押さえられることは返済が遅れない限りありえません。

むしろ、何もせずに借金を滞納している状態が続くと、個人年金は差し押さえの対象となってしまうわけです。

なので、借金の返済が困難な場合は、放置するのではなく、任意整理してしまった方が個人年金を守れるのです。

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年金受給者は任意整理が最適なのか?

ここまでで、任意整理が年金に影響を与えないということがわかりました。

それでは、年金受給者にとって任意整理が最適な方法と言えるかですが、これは現在の収支や財産、年齢によって千差万別です。

現在、月にいくら年金を受給しているのか、それ以外の公的手当や給料がないか、といった収入によっても返済に充てることができる金額は異なりますし、持病の有無によっても支出や今後の備えは異なるからです。

「任意整理では手続き後も返済を続けなければならない」です。

そもそも任意整理は、金利をカットし、長期返済できるように返済計画に組み直しをして、借金負担を減らす手続き。

少ない貯金と年金で生活している人にとっては、手続き後の返済すらも苦しく、任意整理後の返済計画が立てられない、というケースがかなり見られます。

もちろん、ご家族の援助が可能だ、という場合には、任意整理も十分選択肢に入ってくるとは思いますが、それも難しいという場合は、個人再生や自己破産などの方法をとった方が、むしろ手続き後の生活が楽になる可能性があるでしょう。

個人再生や自己破産では、所有している財産に影響してくるため、一概に個人再生や自己破産の方が良いとは言えませんが、任意整理の方が不適切なケースが珍しくありません。

手続き後の生活についてもきちんと考慮した上で、自分に適した債務整理方法を検討するようにしましょう。

任意整理と個人再生の違い
任意整理と自己破産の違い

任意整理の注意点

年金受給者には、任意整理をおすすめすることは少ないです。

ただし、家族の援助を受けられるなど、手続き後の返済も問題なくおこえる場合は、任意整理は一つの解決策として価値があります。

それでは、任意整理が最適だと判断できた場合に向けて、任意整理の注意点を紹介しておきましょう。

ブラックリストに載る

任意整理を行うと、信用情報機関に事故案件として記録されてしまいます。

これを「ブラックリスト状態」と言い、任意整理の場合これが5~7年続きます。
(個人再生の場合は5〜10年、自己破産の場合は10年)

ブラックリスト状態では、金融取引などに制限がかかります。

具体的には、「新たな借り入れができない(ローンを組めない)」「クレジットカードを使用できない」「借金の保証人になれない」という制限が発生します。

とはいえ、年金を受給できる年齢の場合では、この点は大きなデメリットとならないかもしれません。

なぜなら、高齢になるにつれて、クレジットカードの更新が止まったり、カードの審査が通らなくなっていくことが多いためです。

手遅れにならないうちに踏み切りましょう

任意整理では「いかに早く手続きを開始するか」が重要なポイントになってきます。

任意整理は手続きが遅れれば遅れるほど、その成功率が下がったり、和解条件が厳しくなります。

任意整理では、必要最低限の返済能力(元本の60回払い)が必要ですので、それに満たなければ、個人再生や自己破産を選択せざる得ない状態になるわけです。

個人再生では、ローン中の車を手放す必要がでてきたり、自己破産では、住宅を手放さなければいけないため、任意整理で手を打てるうちに踏み切ることが大切です。

ですから、少しでも返済が苦しいと感じたら、一刻も早く司法書士・弁護士に相談するようにしましょう。

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まとめ

年金受給者でも任意整理を行うことは可能です。

また、年金が差し押さえられるということもありません。

年金受給者に任意整理が適しているかは、現在の収支や財産によります。

任意整理後の返済が厳しそうだ、という場合は、個人再生や自己破産などの方法も視野にいれて検討すると良いでしょう。

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執筆者情報

司法書士・行政書士 山口 広樹
司法書士・行政書士  山口 広樹

横浜市出身で司法書士・行政書士15年目。
かながわ総合法務事務所の代表。
債務整理や過払い金請求を専門にし、累計の解決実績5000件以上。

・司法書士(神奈川県会2376号)
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・行政書士(神奈川県会4407号)
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