「任意整理を考えているけど、どのような制限があるのか気になる・・」
「自分が任意整理できるのか判断がつかない・・」
借金に困っている方で任意整理を検討している方は多くいらっしゃるでしょう。
債務整理の中でも最もリスクの少ない手続きですので、その人気も納得です。
とは言うものの、実際に自分が任意整理に踏み出してよいものか、制限されることやデメリットが気になりだすと中々行動に移せないという声も多いものです。
返済に困っている方にとって、任意整理が非常に有効な手段であることに間違いはないのですが、いくつか制限がかかったり、デメリットがあるのも事実です。
そこで今回は、本当にあなたが任意整理に進むべきか判断していただくため、任意整理にはどのような制限やデメリットがあり、どのような方に向いているのかについてお話していきましょう。
目次
任意整理で制限されること
任意整理は、あなたとカード会社の和解によって進める手続きです。
任意整理をすることで、将来発生する利息や、遅延損害金をカットすることができるので、元本のみを返済していくことになります。
また返済期間は3~5年と余裕を持って返済していくことができるので無理のない返済計画が立つ点も大きなメリットと言えるでしょう。
このように、大変有効な手段である任意整理ですが、当然デメリットも存在しますので詳しく見ていきましょう。
ブラックリスト入りする
任意整理に限らず、債務整理を行うとブラックリスト入りしてしまいます。
なお、ブラックリストという表現は俗称で、実際には「信用情報機関」に事故情報(債務者の遅延や延滞などの情報)が載ることを言っています。
ブラックリストに載る期間は、債務整理の種類によって異なり、以下のようになりその期間中は制限がかかります。
・自己破産5~10年
・個人再生5~10年
・任意整理5~7年
上記のとおり、任意整理は、他の債務整理と比較して短いので、比較的リスクが少ないとお分かりいただけると思います。
とは言うものの、上記の期間が経過するまでは、いくつか制限がかかることになりますので覚悟しておかなければなりません。
それではどのような制限がかかるか見ていきましょう。
クレジットカードが作れない
クレジットカード会社は、債務者について正しい審査(リスクのある方を極力避ける)を行うために信用情報機関に加盟しています。
また、信用情報機関は独自のネットワークでつながっているため、最低1つの機関に加盟していればおおよそ審査における情報は過不足なく入手できるようになっているのです。
クレジットカードは信用を元に成立するものなので、過去に事故(延滞、滞納、債務整理などの履歴)がある方は審査に落ちてしまう結果、クレジットカードが使用できない・作成できないということで生活に制限がかかるでしょう。
しかし、ブラックリスト入りしていても、デビットカードであれば信用情報機関を通した審査が不要なので、問題なく利用できます。
デビットカードは銀行口座にお金を入れておけば、あとはクレジットカードを変わりなく利用でいるので便利です。
任意整理中の5~7年間はデビットカードで過ごせば、生活への制限は大分緩和されるでしょう。
ネットでの買い物なども問題ありませんしね。
キャッシングができなくなる
消費者金融やクレジットカードのキャッシング枠を利用して、ATMでお金を引き出すことをキャッシングといいますが、このキャッシングにおいてもカード会社(消費者金融・銀行・クレジットカード会社)は信用情報機関の情報を照会するため、審査落ちして利用できなくなってしまうでしょう。
キャッシングへの制限は、債務者にとって、これ以上借金を増やさない状態と捉えられるので、逆にメリットになるかもしれません。
保証人になれない
信用情報機関に情報が載ってしまうと、保証人としても適格性を欠くと判断されてしまい、誰かの保証人になることができなくなってしまうでしょう。
しかし、この点はあまりデメリットとは言えませんが、子供の奨学金の保証人になることができないという点では制限がかかっていると言えるでしょう。
ローンを組めなくなる
ローンにもいろいろとありますが(住宅ローン、自動車ローン、おまとめローンなど)、ローンも借金することですので、当然カード会社は信用情報機関を照会するため、ブラックリスト入りしていると利用が制限されます。
つまり、ブラックリスト入りしている5年間は借金がほぼできないと考えてもらってよいのですが、100%借りれないかというとそういうわけでもありません。
20歳以上の成人で安定収入がある方であれば、条件によってはブラックリスト状態でも借りれる場合があります。
あまり過度に期待はしないほうがよいですが、大手のカード会社でなければ借りられる可能性はあります。
中小のカード会社に絞って調べてみるとよいでしょう。ただし、間違っても闇金には手を出さないでくださいね。
携帯の機種代を分割で支払えなくなる
昨今では、携帯電話・スマホの機種代金が大幅に高騰していますが、一括で購入する負担を削減するために、月々の使用料金と併せて分割で支払っていることが一般的です。
携帯を利用する分には、一切制限はかかりませんが、機種変更する際に、その機種を分割で購入することができなくなります。
例えば、10万円のスマホであれば、月々の使用料にプラスして¥4,000ほど支払っていくのですが、この分割払いが一切できなくなるのです。
携帯・スマホの分割払いは、ローンで何かを購入することと同様に扱われるのです。
つまり、機種変更をする場合は、一括購入をしなければいけません。
→任意整理をしても携帯電話・スマホは使える?機種変はできる?
任意整理で制限されると勘違いされていること
任意整理をすることで、制限されると勘違いされていることが多くあります。
以下に勘違いされているケースを挙げていきますので、実際にはどうなのか見ていきましょう。
近所に知られる
任意整理は、人に知られずに手続きを進められるのでこのようなことはありません。
他の債務整理(自己破産や個人再生)は、官報(ほぼ毎月発行される国の新聞のようなもの)に事故情報が載ってしまうので、最悪人にバレてしまう可能性も考えられますが、任意整理においてはその心配は無用です。
職場に知られる
これも上記と同じく、官報に載らないので職場に知られることはありませんのでご安心ください。
職場に知られるケースは、任意整理をすることではなく、長期間滞納して、カード会社から職場に電話されたときや、差し押さえをされたときが考えられるでしょう。
そのため、そのようなことになる前に、事前にカード会社に連絡するか、任意整理などをして返済の目処を立てておくことをお勧めいたします。
解雇される
上記と同様に、職場に知られることはないので、解雇されるということもありません。
そもそも、任意整理や借金を理由に解雇する行為は、労働基準法において不当解雇にあたるためそのようなケースに遭遇したとすればそれは会社側に非があります。
借金を理由に解雇されてお困りな方は、公的な機関か、弁護士などの専門家に相談してみてください。
生命保険に入れない
まず、生命保険の支払いを延滞や滞納したとしても、その情報が信用情報機関に登録されるということはありません。
さらに、生命保険会社が保険の加入で審査する際に信用情報機関の情報を照会することもありません。
このことから、生命保険に入れないということはありませんのでご安心ください。
給料が差押えられる
任意整理をすることで、カード会社から債務者に直接取立てをすることができなくなり、連絡をとる場合は必ず弁護士や司法書士などの専門家を通す必要があります。
具体的には「受任通知」という通知を弁護士や司法書士からカード会社に宛てて送り、それをカード会社が受け取った時点でその効果が発生します。
つまり、任意整理後はカード会社がいきなり給料を差押えるような行為もストップされるのでご安心ください。
なお、もしカード会社が受任通知の規約を守らずに勝手に督促行為をすると、罰金や懲役、業務停止や貸金業登録取り消しなどの行政処分を受ける可能性があります。
このことからも、任意整理によって守られているということがお分かりいただけるでしょう。
年金がもらえなくなる
任意整理をしたからといって年金がもらえなくなるということはありませんのでご安心ください。
老齢年金、障害年金、遺族年金すべて、問題なく受け取ることができます。
また、受給する年金を何に使おうが特に制限はありませんので、借金の返済にあてることも可能です。
戸籍に記載される
役所などに事故情報が通知されるわけではありませんので、戸籍に任意整理に関する情報を記載をされたりすることはありません。
一生ローンが組めなくなる
任意整理をすると、5~7年間はブラックリストに載るので、その間はカードを作ったりローンを組んだりすることには制限がかかります。
しかし、5~7年間が経過すれば情報は削除されるため、その後はカードを作ったり、ローンを組んだりすることも可能です。
車を手離さなくてはならない
任意整理は、借金の一部だけを整理の対象にすることが可能です。
そのため、もし車のローンが残っている場合は、車のローンだけは整理の対象から除外し、他の借金だけを任意整理の対象にすればよいのです。
車への制限は一切無いでしょう。
任意整理すべき人
任意整理をして借金を完済したい、しかし本当に自分が任意整理をすべきか分からない、このような方もいると思います。
以下に、任意整理に適している方の特徴を以下にまとめましたのでご覧ください。
借金の額が大きすぎない
任意整理は、利息や遅延損害金をカットして返済を楽にする手続きであり、自己破産のように借金をゼロにしたり、大幅に減額したりする手続きではありません。
つまり、手続き後は返済していかなければいけないのです。
さらに、返済期間は3~5年で返済する必要があります。
そのため、もしあなたの借金が大きすぎる場合は、返済が楽にならないので任意整理は向いていないでしょう。
例えば、貴方の借金が600万円で月給が20万円として、利息をカットして5年で返済計画を立てたとします。すると、毎月の最低返済額は以下のようになります。
600万円÷60ヶ月 =10万円
20万円の給料で、毎月10万円返済していくのは厳しいのではないでしょうか。
このように、借金の額が大きすぎる場合は、任意整理よりも自己破産や個人再生の方が向いているかも知れません。
→自己破産の概要
→任意整理の目安は?いくら借金があると検討すべき?
→借金600万円あったTさんが任意整理で解決した事例
最低限の返済能力がある
任意整理後は前述したとおり、手続き後は返済していかなければならないので、全く収入のない方は任意整理を利用することができません。
同じく、生活保護の方においても、生活保護で受給したお金を借金の返済にまわすことが禁じられていますので、やはり任意整理を利用はできません。
ちなみに、アルバイトや年金受給者の方は任意整理が可能です。
また、任意整理後の返済資金が自分の収入でなくてはいけないという制限もありませんので、例えば専業主婦であればご主人からの生活費やお小遣いを元に返済することも可能なわけです。
→専業主婦が任意整理するための条件
→学生でも任意整理できる
→アルバイトやパートでも任意整理できる
車を所有している方 ・ 借金に保証人をつけている方
前述したとおり、任意整理は一部の借金だけを整理の対象にすることが可能です。
そのため、車のローンがある場合には、車のローンだけを整理の対象から除外すれば車を没収されることもありません。
また、ご両親やご親戚に保証人になってもらっている場合も任意整理は有効です。
上記のとおり、任意整理は一部に借金だけを整理の対象にできるので、保証人をつけている借金だけを整理の対象から除外できるからです。
もし、除外せずに保証人つきの借金も整理してしまうと、取立ての対象があなたから保証人に移行することになります。
ちなみに、個人再生や自己破産はすべての借金を対象にしなければいけないので、車を没収されますし、保証人にも迷惑をかけることになります。
→保証人に迷惑かけずに任意整理できる?
→一部の借金だけを対象にできる任意整理
→任意整理の費用はいくら?費用の相場を把握しておこう
→任意整理の手続き期間と任意整理後の返済期間はどれくらい?
→任意整理の流れと必要なもの|流れを事前に把握して不安を解消!!
まとめ
・任意整理をするとブラックリスト入りするため、カードを作ったり、利用したりできなくなる
・任意整理をすると新規の借り入れができなくなる
・任意整理すると借金の保証人になれなくなる
・任意整理で制限がかかると勘違いしている事が多く存在する