「任意整理すると過払い金の発生も分かる?!」
「過払い金があると借金がなくなることもあるってホント?」
任意整理とは、弁護士や司法書士といった専門家にお願いし、カード会社(クレジットカード会社・消費者金融・銀行)と任意の交渉を行うことで、将来的に発生する利息のカットや、分割払いの回数の調整に応じてもらい、借金返済の負担を減らす手続きのことです。
任意整理する際は、本格的な手続きに入る前に、専門家による引き直し計算が行われますが、同時に過払い金の発生有無についても明確になります。
その結果、
- 借金残額 = 過払い金
- 借金残額 < 過払い金
となれば、借金がゼロになったり、お金が戻って来たりする場合もあります。
そして、この場合、任意整理の手続きをすることなく、借金問題が解決することになるのです。
以上のように、任意整理の手続きを弁護士や司法書士といった専門家にお願いすると、過払い金の発生が分かるため、借金問題の解決に大きく近づける可能性が出てきます。
そこで今回は、任意整理と過払い金の関係について、詳しく解説したいと思います。
目次
任意整理すると過払い金の発生も分かる
任意整理を行う際は、本格的な手続きに入る前に、借金の全容を把握するため、利息の引き直し計算というものを実施します。
それにより、過払い金の発生有無が明確になるのです。
過払い金とは
過払い金とは、一言で言えば「カード会社に払い過ぎたお金(利息)」のことです。
借金をする場合には、利息が発生します。
そして、この利息の割合については法律で規定されており、カード会社はその範囲内で利息を設定することで、顧客にお金を貸しているのです。
しかし、法定範囲を超えた利息を設定することは当然違法になるため、もしあなたがこの限度を超える利息でお金を借りていたとすると、本来支払うべき利息以上のお金を支払うことになってしまいます。
つまり、
「違法な利息 - 法定利息 = 過払い金」
となるわけです。
たとえば、本来支払うべき利息が20万円だった場合に、あなたが30万円支払っていたと仮定すると、10万円が払い過ぎということになります。
この場合には、10万円が過払い金となるのです。
そして、この払い過ぎたお金(利息)をカード会社に請求することが、「過払い金請求」といいます。
借金の利息を決める法律
カード会社が顧客にお金を貸す際には、「利息制限法」と「出資法」という2つの法律で規定されたルールの範囲内で取引を行う必要があります。
まず、利息制限法ですが、こちらは利息の上限を定める法律です。カード会社が顧客にお金を貸す場合、以下のように利息の上限(上限金利)が定められています。
- 借金の元本が10万円未満 :利息=20%/年
- 借金の元本が10万円以上100万円未満:利息=18%/年
- 借金の元本が100万円以上 :利息=15%/年
したがって、上記ルールを超えた利息で顧客と取引を行ったカード会社は、行政処分の対象となるわけです。
たとえば、80万円を借りた際に、年利20%の利息でカード会社から請求が来るような場合は、超過分の2%の利息が無効となります。
そして、もし実際にこのような取引が行われた場合、カード会社は次に説明する出資法で規定された処罰を受けなければなりません。
出資法とは、利息に関する刑罰の対象を定めた法律のことで、正式名称は「出資の受け入れ、預かり金及び金利等の取り締まりに関する法律」となっています。
したがって、前述したような違法な取引が行われた場合には、対象のカード会社は出資法違反となるため処罰を受ける必要が出てくるのです。
引き直し計算とは
引き直し計算とは、利息制限法の上限金利に基づいて利息の再計算を行い、借金の残額を明確にする計算のことです。
任意整理の手続きを弁護士や司法書士といった専門家にお願いする際、引き直し計算を行うことで、過払い金の発生有無が分かります。
特に、2007年(平成19年)よりも以前にカード会社から借金をしている人は、過払い金が発生している可能性が高いでしょう。
任意整理とは、裁判所を介さない債務整理(借金問題を解説する手続き)の手段で、弁護士や司法書士といった専門家に手続きをお願いすることで、カード会社に任意の交渉に応じてもらい、将来的に発生する利息のカットや分割払いの回数を調整することで、借金返済の負担を減らす手続きです。
このとき、本格的な手続きに入る前に、専門家がカード会社に対して取引履歴の開示を要求し、借金の残額や取引期間といった借金の全容を把握します。
そして、利息制限法の上限金利に基づいて利息の再計算を行い、正確な借金残額を明らかにするのです。この計算のことを、「引き直し計算」と呼びます。
引き直し計算は、利息制限法の上限金利に基づいて利息の計算をしますので、上限金利を超えた利息で取引が行われていた場合には、その差額も明確になるわけです。
実際の作業としては、カード会社から開示された取引履歴を、過去から一件ずつ適正な利息で計算していくことで、借金があといくら残っているのかを明確にします。
その結果、
- 実際にあなたが支払った金額
- 適正な利息で引き直し計算をした金額
が明確になるため、これらを比較することで過払い金の発生有無が明確になるのです。
過払い金が発生する条件
過払い金が発生する条件は、利息制限法で規定された上限金利以上の利息で貸し出しを行うことですが、現在の法律では基本的にそのようなことは起こりません。(ただし、闇金などは別)
では、どうして過払い金が発生するのかというと、その理由は過去にグレーゾーン金利と呼ばれる、20%以上の高金利貸し付けを行える時期が存在したからです。
グレーゾーン金利
先ほど紹介した「出資法」では、2006年(平成18年)まで上限金利が29.2%と定められていました。
また、当時利息制限法で定められていた上限金利は20%でした。
しかし、当時は、出資法で定められた29.2%の金利さえ守っていれば処罰されることがなかったため、多くのカード会社が29.2%という高金利で貸し付けを行っていました。
つまり、
- 利息制限法の上限金利:15~20%
- 出資法の上限金利 :29.2%
ということで、20~29.2%の金利は、
- 利息制限法:NG
- 出資法 :OK
となり、白でも黒でもないグレーな金利となるわけです。そして、この法律の抜け穴を突く金利が「グレーゾーン金利」と呼ばれ、実質上29.2%以下の金利であれば公然と取引ができた時代がありました。
さらに、「貸金業法」という法律の中に、「みなし弁済」と呼ばれる、顧客が任意で支払った利息であれば利息制限法の上限金利を超えた貸し出しをしてもOKという規定もあったため、グレーゾーン金利での取引が横行していたというわけです。
2007年より以前に借金をした人は過払い金発生の可能性が大
前章で紹介したグレーゾーン金利での貸し付けが行われていた時代には、多くの人が借金に苦しんでいたため、大きな社会問題になっていました。
そんな折に、
- 2006年(平成18年)1月:最高裁がみなし弁済を認めないという判決を出す
- 2006年(平成18年)10月:出資法の改正により上限金利が「29.2%→20%」に変更される
という2つの大きな転換ポイントが訪れ、カード会社は一斉に20%以下の利息で貸し付けを行うよう規約を変更しはじめました。そして、
- 2010年(平成22年)6月:貸金業法の改正により、みなし弁済が廃止
ということで、グレーゾーン金利は完全に消滅することになりました。
そして、これにより、払い過ぎた利息をカード会社から取り戻す、いわゆる「過払い金請求」が法的に認められるようになったのです。
したがって、
- 2006年(平成18年)以前からの取引:過払い金発生の可能性大
- 2007年(平成19年)からの取引 :契約した時期による
- 2008年(平成20年)以降の取引 :過払い金が発生の可能性少
となり、2007年より以前にカード会社から借金をした人には、過払い金が発生している可能性があります。
特に、2007年より以前に、カード会社と5年以上の取引がある場合は、かなり高確率で過払い金が発生している可能性があるでしょう。
そのため、あなたがカード会社といつ取引をしたのか把握しておくことが、とても重要になります。
ちなみに、過払い金には利息が存在し、年利3~5%となっています。よって、そちらも併せて請求することが可能です。
過払い金の金額によっては任意整理が不要になる場合もある
先ほど説明した引き直し計算をした結果、
- 借金残額 = 過払い金
- 借金残額 < 過払い金
ということが発覚した場合には、借金がゼロになるか、お金が戻ってくる可能性があります。
そうなると、任意整理をしなくても借金を完済できてしまうため、任意整理の手続きをする必要がなくなるというわけです。
よって、任意整理のデメリットである「ブラックリストに載る」というリスクを被ることなく、借金問題が解決できる可能性もあります。
したがって、過払い金が発生している可能性が高そうな人は、弁護士や司法書士といった専門家に相談することで、任意整理することなく借金問題を解決できる可能性もあるのです。
過払い金請求時の注意点
最後に、過払い金請求を行う際、注意しておくべきポイントについても紹介しておきます。
借金が残るとブラックリストに載る
先ほど、引き直し計算をした結果、
- 借金残額 = 過払い金
- 借金残額 < 過払い金
の場合には、借金がゼロになるか、お金が戻ってくる可能性があると説明しました。しかし、
- 借金残額 > 過払い金
となり、過払い金請求した結果、借金が残ってしまった場合には、信用情報機関(カード会社と顧客が適正に取引できるよう信用情報を収集、管理する機関)が管理する信用情報(カード会社と顧客の取引に関する情報)に事故情報として登録されてしまいます。
その結果、いわゆる「ブラックリストに載る」という状態になるため、5年~10年程度の期間は、カード会社から新たな借り入れができなくなるのです。
したがって、
- クレジットカードの利用(ショッピング、分割払い、リボ払いなど)
- 住宅ローン、自動車ローンなどのローン
- キャッシング
といったサービスの利用ができなくなり、ローンや奨学金の保証人にもなれなくなります。
よって、過払い金請求をした結果、借金が1円でも残るとブラックリストに載ってしまうため、任意整理するのと同じデメリットが生じることを覚えておきましょう。
ただし、過払い金を借金と相殺した結果、借金が完済できれば、信用情報から事故情報が消されていきます。
→リボ払いが終わらないなら任意整理|リボ払いから脱出したい人必見
借金の完済後10年経過すると時効になる
過去にグレーゾーン金利による借金をしていた人で、すでに完済したという場合には過払い金が発生していた可能性があります。
しかし、過払い金は、完済後10年経過すると時効となってしまうため、できるだけ早めに過払い金請求を行う必要があるのです。
当サイトでは、無料相談を行っておりますので、「過払い金があるかも」という人はお気軽にご相談ください。もしかしたら、任意整理しなくても借金問題が解決できるかもしれません。
→任意整理について詳しくはこちら
→任意整理の費用はいくら?費用の相場を把握しておこう
→任意整理の手続き期間と任意整理後の返済期間はどれくらい?
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まとめ
- 任意整理を行う際、利息の引き直し計算を行うことで過払い金の発生有無が明確になる
- 過払い金が発生する原因はグレーゾーン金利
- 2007年より以前にカード会社と5年以上の取引がある場合は、かなり高確率で過払い金が発生している可能性がある
- 引き直し計算をした結果、過払い金が発生しており借金を完済できた場合には、返済義務が残らずに借金問題を解決できる
- 上記の場合、ブラックリストは取り消される